Research

Tokyo Tech Research Repository
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<進行中>
・2022–2024
 日本語能力診断のためのオンラインテストLEAPの開発と測定支援システムの構築(研究課題番号22K00658)

オンライン環境で簡易的に日本語運用能力を診断するLEAPテストの開発と運用に関わる総合的研究。1990年代に開発された用紙版のSPOTテストに倣い,自然な発話速度で次々と読み上げられる文を聞きながら空欄箇所に解答する,という方式をオンライン上で実現する。本研究では,テストの諸要素とテスト成績との関係及びテストにかかわる学習者の個別要因を明らかにし,診断テストとしての基準を構築する。加えて、モバイル版の実装と,日本語教師自身が自らの教育現場に合わせてテストが作成できるプラットフォームを開発し,他機関での実施可能性を検討する。

・2022–2024
 平和を目指す内容言語統合型学習(CLIL)カリキュラムの開発と評価(研究課題番号22K00669,研究代表者 奥野 由紀子)

日本語教育分野において、「平和」をテーマとした内容言語統合型学習(Content and Language Integrated Learning、以下CLIL)による授業実践を行い、その有効性を探る。CLILの指導原理に基づいた授業実践を行いながら、1)言語、2)内容、3)思考、4)協学/異文化理解の各側面に関する学習者の変化について、第二言語習得研究、評価研究、教育心理学研究の分野における調査・研究手法を用いて検証し、平和教育を取り入れた日本語授業実践を促進させる。

・2018–2022
 協働的な説明活動におけるモニタリングと読解学習に関する研究(研究課題番号18K00711)

上級レベルの日本語学習者の読解において重要な自己モニタリングの働きを促すための学習法として,「他者への説明」が核となる読解活動を提案し,その方法を検討しています。

<終了>
・2018–2021
 平和を目指す日本語教育における内容言語統合型学習(CLIL)の効果検証と実践支援 (研究課題番号18K00691,研究代表者 奥野 由紀子)Effectiveness verification and practical support of Content and Language Integrated Learning(CLIL) in Japanese language education aiming for peace

内容言語統合型学習(Content and Language Integrated Learning、以下CLIL)の指導原理に基づき、平和な世界の実現を目指すテーマ内容(以下「PEACE」)の授業実践を行いながら、1)言語、2)内容、3)思考 4)協学(4C)の各側面に関する学習者の発達過程を検証し、日本語教育におけるCLIL授業の具体的な教育支援策を探っています。

・2012–2017
 協働的な学習環境におけるモニタリングと日本語読解学習に関する研究 (研究課題番号24720230)Japanese reading comprehension and monitoring in a collaborative learning environment

文章理解におけるモニタリングの働きを促す学習方法として「他者への説明」があります。説明構築プロセスを他の学習者と協働で行うことにより,内容理解の深化とモニタリング技能の意識化を目指しました。説明活動により,「思考をまとめる形式の提示」「説明の評価基準の意識化」「協働的学習環境の設定」が生じました。実践の事前事後の作文から,内容面・文章構造面の向上が示されました。学習者のコメントから,日本語力・発信力・思考力が高まった実感と協働作業による学習方法への気づきが示されました。


・2011–2013
 初級日本語学習者を対象とした聴解力評価基準の構築 (研究課題番号23520643,研究代表者 福田 倫子 )Development of assessment standards for measuring the listening comprehension ability of Japanese language learners at beginner level

語彙力・文法力が十分でないために従来聴解力の測定が困難であった入門期~初級の日本語学習者の聴解力を推測する手法の開発を目指し,音韻的作動記憶能力を測定する非単語反復課題を改良しました。音韻的作動記憶の能力を中心とした認知能力と,聴解力・語彙力との関係を縦断的に調査した結果,日本在住の学習者では入門期に測定した音韻的作動記憶の能力から6、9カ月後の聴解力を推測できる可能性が示されました。

・2009–2011
 モニタリングを促すための他者への説明活動を取り入れた読解学習プログラムの開発(研究課題番号21720185) Constructing reading comprehension using the explanation activities for Japanese as a second language class

上級と中級レベルの日本語学習者を対象に,読解におけるモニタリングの働きを促すため,文章内容に関する質問作成活動、及び、他の学習者と話し合いながら文章内容を資料としてまとめ、それを発表する「説明活動」を行いました。実践の結果,学習者間の説明活動のみでは学習者によって理解度の向上の度合いが異なりましたが,説明活動に文章構造を意識化するフィードバックを組み合わせることで,より多くの学習者において文章理解度が向上ることが示されました。


・2008–2010
 日本語学習者の聴解力評価のための基準構築 (研究課題番号2052046,研究代表者 福田 倫子)The construction of an assessment standards of listening comprehension ability for Japanese language learners

日本語学習者の聴解力を客観的に評価する基準を得るために、中国語母語・英語母語の日本語学習者を対象に、作動記憶容量と音韻的作動記憶容量,語彙力,聴解力の関係を調査しました。新たに,音韻的作動記憶の能力を測定する日本語学習者用のツールとして非単語反復課題を開発しました。

・2004–2005
 日本語学習者の説明文理解におけるメタ認知の機能に関する実証的研究(特別研究員奨励費)

読解過程において重要な働きをするのが、読みの目的に応じて理解状況をモニターし、どう読むかを調節するメタ認知です。本研究では、読解中のメタ認知の促進をねらった2種類の質問活動が,第2言語としての日本語文章の理解度に及ぼす影響を比較し,メタ認知の働きの実証を試みました。調査の結果,「質問解答(重要な部分に関する与えられた質問に答える)」では文章に明示された再認理解に,「質問作成(重要な部分を選んで質問を作る)」では要点理解や因果関係の推論などの再生に,それぞれ効果があることが明らかになり,文章理解への影響は質問課題によって異なることが示されました。「質問作成」の要点理解への効果は,文章から「自分で」質問となるところを探し出すプロセスが,文章全体の内容把握に注意を向けさせたことによると考えられます。